「なぜコーヒーで酔うのか?」この謎についてコーヒーのプロが真剣に考えてみた
コーヒーで酔うって知っていますか?にわかに信じがたいことですが、実際に「コーヒー酔い」は存在します。私自身、コーヒーが好きで1日に1~3杯程度のコーヒーを飲みますが、結構な頻度で発症します。
はじめは「コーヒーが体に合っていないのかな」と思っていましたが、どうやらコーヒー酔いだったようです。しかし「本当にコーヒーで酔うのか?」疑問を抱いている方も多いでしょう。そこで、この記事では以下のポイントについて解説していきます。
・コーヒー酔いの真実
・コーヒー酔いの原因
・コーヒー酔いをやわらげる方法
私と同じように「コーヒーを飲むとめまいがする……」「コーヒーを飲むと、酔ったみたいな感覚になる……」という方は、ぜひ参考にしてみてください。ちなみに、お酒は強いほうなので、コーヒーとの相関関係はなさそうです。
編集者
SHUN HONKE
宮崎県初のクロッフル専門キッチンカーカフェ『kukuna cooffe』オーナー。Webマーケティング・クリエイティブ制作を中心に飲食店をサポート。趣味のキャンプを通じてコーヒーの魅力にハマる。その後、コーヒーの研究を重ね、ハンドドリップコーヒーを提供するキッチンカーカフェをOPEN。今後は、宮崎県の食文化を盛り上げることに尽力。
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まず「コーヒー酔い」は本当にあるのか
お酒ならわかりますが、コーヒーで酔うって信じられないですよね。しかし「コーヒー酔い」は本当に存在します。お酒に弱い人がいるように、コーヒーに弱い人がいても不思議ではありません。
症状は、コーヒーを飲んだあとに吐き気やめまい、胸の苦しみなど。私自身、何度もコーヒー酔いを経験しており、コーヒー酔いする人は多いのではないかと考えています。「蜘蛛(くも)にコーヒーを飲ませてうまく巣を張れるのか」という実験をしているYouTubeや研究者も多く、意外にもコーヒー酔いは認知されている症状のようです。
コーヒー酔いの要因は「カフェイン」
コーヒー酔いのおもな要因は「カフェイン」です。カフェインは眠気覚ましや脳活性化などの効果が一般的ですが、一方で体に悪影響を与えることもあります。
カフェインは、コーヒー以外に清涼飲料水や茶葉などに含まれており、摂取量には注意しなければいけません。カフェインが含まれている飲み物のカフェイン濃度を以下の表にまとめました。
飲み物 | カフェイン濃度 | 備考 |
コーヒー(浸出液) | 0.06 g/100 mL(=60 mg/100 mL) | 浸出法:コーヒー粉末10 g、熱湯150 mL |
インスタントコーヒー(粉末) | 4.0 g/100 g(2 g使用した場合、1杯当たり80 mg) | – |
ほうじ茶(浸出液) | 0.02 g/100 mL(=20 mg/100 mL) | 浸出法:茶葉15 g、90℃湯650 mL、0.5 分 |
玄米茶(浸出液) | 0.01 g/100 mL(=10 mg/100 mL) | 浸出法:茶葉15 g、90℃湯650 mL、0.5 分 |
ウーロン茶(浸出液) | 0.02 g/100 mL(=20 mg/100 mL) | 浸出法:茶葉15 g、90℃湯650 mL、0.5 分 |
紅茶(浸出液) | 0.03 g/100 mL(=30 mg/100 mL) | 浸出法:茶葉5 g、熱湯360 mL、1.5~4 分 |
抹茶(粉末) | 3.2 g/100 g(お湯70 mLに粉末1.5 gを溶解した場合、カフェイン含有量48 mg) | – |
参照:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
参照:農林水産省|カフェインの過剰摂取について
また、カフェインの過剰摂取といわれても、どれくらいの量が過剰になるのかわからないですよね。日本国内ではカフェインの摂取量に対して明確な基準はありません。そのため、海外機関が定める基準を紹介します。
対象者 | 悪影響のない最大摂取量 |
健康な成人 | 400mg(1回当たり3mg/kg体重※1) |
妊婦 | 200~300mg |
授乳中の女性 | 200mg(※2) |
(※)参照:飲料のカフェイン含有量に関する調査|国民生活センター
(※1)1回当たり摂取量約3mg/kg体重以下(例:体重70kgの成人で約200mg以下)であれば急性毒性の懸念は生じない
(※2)乳児に健康リスクは生じない
ただし、上記はあくまで目安であり、カフェインによる体の影響には個人差があります。お酒と同じで、その日の体調によって変わることもあるので注意しましょう。
▶関連記事:コーヒーで痩せるって本当?コーヒーダイエットの真髄とは
コーヒー酔いの要因「カフェイン」が体に与える影響
コーヒー酔いの要因である「カフェイン」カフェインが体に与えるおもな影響は、以下の2つです。
・胃液・胃酸の分泌を増加させる
・交感神経が乱れる
胃液・胃酸の分泌を増加される
カフェインには、胃液分泌を促し、脂肪を分解するリパーゼを活性化させる働きがあります。そのため、食後の消化には効果的ですが、空腹時に過剰摂取することで胃の粘膜が傷つき、胃痛を引き起こす可能性があります。コーヒーを飲んで吐き気を引き起こすのは、これが理由です。
交感神経が乱れる
カフェインには交感神経を刺激する働きがあり、過剰に摂取すると交感神経の乱れにつながります。交感神経とは、活動時に優位になる自律神経のこと。逆にリラックスしているときに優位になる自律神経を「副交感神経」と呼びます。人の体は、これらの自律神経が状況に応じて交互に働くことで、体のバランスを最適に調整しています。しかし、どちらかの自律神経が乱れると、体の調整がきかなくなり、さまざまな不調が生じることになります。
たとえば、
・倦怠感
・不眠
・耳鳴り
・めまい
・眼精疲労
・動悸
・のどや胸のつかえ
・腰痛
・頻尿
など。自律神経による不調はさまざまです。コーヒーを飲んだあとに、これらの症状が現れたということは、交感神経が乱れていることが原因かもしれません。自律神経を正常に保つためにも、カフェインの過剰摂取には十分注意しましょう。
参照:自律神経の乱れに伴う症状とは? 将来の生活習慣病リスクにもつながる?|くすりと健康の情報局
コーヒー酔い(カフェイン中毒)をやわらげる3つの方法
コーヒー酔いをやわらげる方法は、二日酔いを治す方法と似ています。おもに効果的な方法は、以下の3つです。
1. たっぷり水分を摂る
2. オレンジジュースを飲む
3. 適度に運動する
1. たっぷり水分を摂る
二日酔いのときと同じで、コーヒー酔いにも「水」は効果的です。そもそも、水にはカフェインを早く溶かす働きがあります。また、細胞や臓器を整える働きもあるため、水をたっぷり飲むことでコーヒー酔いを素早くやわらげます。
このとき、摂取する水の温度は冷水~常温(5~15℃前後)が効果的です。水は温度によって吸収スピードが異なり、5~15℃の冷水は吸収スピードが早く、胃腸に適度な刺激を与えてくれます。コーヒー酔いのときは、5~15℃前後の冷水をたっぷり摂るようにしましょう。
2. オレンジジュースを飲む
コーヒー酔いのときは、水と「糖分」の摂取が重要です。二日酔いでも同じですが、甘いものを摂取すると体調が回復する傾向にあります。そこで、おすすめなのが「オレンジジュース」です。
オレンジジュースを飲むことで、ゆっくり血糖値が上がり”脱水症状と低血糖”を同時に解消できます。果物には果糖(フルクトース)が含まれており、昔からアルコールの分解を早める効果があるといわれています。中でも、オレンジジュースは果糖を多く含んでいることから、コーヒー酔いや二日酔いに効果的と考えられます。
3. 適度に運動する
コーヒー酔いには「適度な運動」も効果的です。激しい運動ではなく、適度な運動です。目的は自律神経を整えることなので、ストレッチ程度で問題ありません。たまに、いっぱい運動して汗をかけば二日酔いが治るという人もいますが、あれは逆効果です。サウナやお風呂などで汗をかくことも体に負担をかけてしまうので、なるべく避けましょう。
ストレッチ程度の軽い運動で自律神経を整え、気持ちをスッキリされるのがポイントです。このとき、深呼吸などを取り入れ、落ち着かされるのもいいでしょう。
まとめ
コーヒー酔いは本当に存在するもので、実際に私も何度か経験があります。症状は二日酔いに似ており、吐き気やめまい、倦怠感などが一般的です。コーヒー酔いの大きな原因は「カフェイン」の摂取量。カフェインは適量であれば、眠気覚ましや脳活性化などに効果的ですが、過剰摂取は体に悪影響を及ぼします。カフェインが体に与えるおもな影響は、以下の2つ。
・胃液・胃酸の分泌を増加させる
・交感神経が乱れる
コーヒー酔いは、これらの影響により引き起こるものです。コーヒー酔いをやわらげる方法はいくつかあり、中でも効果的な方法は以下の3つです。
1. たっぷり水分を摂る
2. オレンジジュースを飲む
3. 適度に運動する
普段からカフェインを含んだお茶や紅茶を飲んでいる日本人は、コーヒー酔いになる人は少ないかもしれません。しかし、その日の体調などによって、誰でも引き起こす可能性があるものです。コーヒー酔いにならないためにも、カフェインの摂取量には十分注意するようにしましょう。